〜ノーベル化学賞ニュースで学ぶ科学英語〜

🧪 北川進氏ら、ノーベル化学賞を受賞
2025年10月8日、スウェーデン王立科学アカデミーは、京都大学の北川進(きたがわ すすむ)教授らにノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)を授与すると発表しました。受賞理由は、金属有機構造体(Metal–Organic Frameworks: MOFs)の開発です。
この新しい材料は、二酸化炭素の回収(carbon capture)やガスの貯蔵(gas storage)など、脱炭素社会の実現に役立つと期待されています。早速、ニュースでどのような英語表現が使われているのかを見ていきましょう。
📌He was awarded the Nobel Prize in Chemistry for his pioneering research on metal–organic frameworks.
彼は、金属有機構造体に関する先駆的研究でノーベル化学賞を受賞した。
✔︎be awarded the Nobel Prize in … for …
…における…の功績でノーベル賞を受賞する
この形は、ニュース英語の定番フレーズです。ぜひ丸覚えしてください。
🔬 MOFとは何か?英語でどう表す?
Metal–Organic Frameworks (MOFs) は、metal(金属) と organic molecules(有機分子) を結合させた多孔質(porous)の物質です。内部に無数の小さな穴があり、ガスを吸着(adsorb)・分離(separate)・貯蔵(store)することができます。MOFは「分子のスポンジ(molecular sponge)」とも呼ばれ、環境技術やエネルギー分野で注目されています。
北川氏の夢は、空気の再利用なんですよ。空気を分離させて、酸素、二酸化炭素、水、などを得ることが目的とのことです。
📌MOFs are porous materials that can store and separate gas molecules efficiently.
MOFは、効率的に気体分子を貯蔵・分離できる多孔質材料です。
👉materialは物質、can store and separateで、貯蔵、分離できる、です。ここでは、storeを動詞として使用しています。 efficientlyは、効果的に、効率的に、です。この辺りの単語が難しい方は、毎日一つずつでも良いので、語彙を増やすようにしましょう。
📌They are sometimes called “molecular sponges” because of their ability to trap gases.
ガスを吸着する性質から、「分子のスポンジ」と呼ばれることもあります。

🌏 脱炭素社会に向けて:ニュースでよく見る英語表現
今回の受賞は、decarbonization(脱炭素化) や carbon neutrality(カーボンニュートラル) という国際的な流れにも関連しています。環境ニュースや国連の声明などでは、次のような表現が頻出します。同時にとても良いフレーズを紹介していますので、ハイライトを引いた部分など、ぜひ丸覚えしてください。
| 英語表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| decarbonization | 脱炭素化 | Japan is accelerating efforts toward decarbonization.(日本は脱炭素化への取り組みを加速している) |
| carbon neutrality / net-zero emissions | カーボンニュートラル、実質ゼロ排出 | Achieving carbon neutrality by 2050 is a global goal. |
| carbon capture and storage (CCS) | 二酸化炭素の回収・貯留 | MOFs can play a key role in carbon capture and storage. |
| sustainable future / sustainable development | 持続可能な未来・開発 | Their discovery will contribute to a sustainable future. |
| renewable energy | 再生可能エネルギー | The demand for renewable energy continues to grow worldwide. |
✔︎Their work opens new doors for carbon-neutral technologies.
彼らの研究は、カーボンニュートラル技術に新たな道を開いた。
✔︎The discovery is expected to contribute to a sustainable future.
その発見は、持続可能な未来への貢献が期待されている。

🧩 科学ニュースで使われる英語のコロケーション集
前の章でも述べたように、ニュースや科学記事では、動詞+名詞 の自然な組み合わせ(コロケーション)がとても重要です。
| 動詞 | よく使う名詞 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| win / receive / be awarded | the Nobel Prize | ノーベル賞を受賞する |
| pioneer / lead / conduct | research | 研究を先導・実施する |
| develop / design / create | new materials / technologies | 新しい素材や技術を開発する |
| play a key role | in tackling climate change | 気候変動への取り組みに重要な役割を果たす |
| open new possibilities | for clean energy | クリーンエネルギーの新しい可能性を開く |
| lay the foundation | for future research | 将来の研究の基礎を築く |
| contribute | to decarbonization / to sustainability | 脱炭素化や持続可能性に貢献する |
| be recognized / be praised | for one’s achievement | 功績が評価・称賛される |
💬 使える英語フレーズ集(実際のニュース文体)
| 英語フレーズ | 日本語訳 | 学習ポイント |
|---|---|---|
| He was honored with the Nobel Prize in Chemistry. | ノーベル化学賞を授与された | 「honor with」は「~を授与して称える」フォーマルな言い方。 |
| Their work opens new doors for carbon capture technologies. | 二酸化炭素回収技術に新たな道を開く | open new doors for…=「~に新しい可能性を開く」定番表現。 |
| The award recognizes their pioneering research. | この賞は彼らの先駆的研究を評価したものだ | recognize A for B=Bの功績でAを評価する。 |
| Scientists around the world are building on their findings. | 世界中の科学者がその発見を基に研究を進めている | build on=「~を土台に発展させる」。科学ニュースで頻出。 |
| The discovery has far-reaching implications for clean energy. | その発見はクリーンエネルギーに広範な影響を及ぼす | far-reaching implications=「広範な影響」ニュースの定番句。 |
🔑 ニュース英語を読むコツ
📌受け身表現(passive voice)を意識する
👉He was awarded the prize., The material was developed by scientists.
科学記事では「誰が行ったか」より「何が成されたか」を重視します。
📌名詞中心の構文に慣れる
👉carbon capture technology, energy storage system, materials science research
✔︎名詞が連続しても、前の語が後ろを修飾していると考えましょう。
📌“contribute to / play a role in” は多用される
✔︎どちらも「〜に貢献する」「〜に関与する」表現で、日常会話でも便利に使えます。会社で重要な役割を果たす、社会に貢献する、優勝に貢献する、など。
例:This research contributes to sustainable development.
MOFs play an important role in tackling climate change.

まとめ
北川進氏らのノーベル化学賞受賞は、日本の科学技術の強さを世界に示す快挙でした。そしてそのニュースには、英語学習者にとっても宝の山のような表現が詰まっています。
📌今日のキーワードを復習です
🧩 Nobel Prize / be awarded / pioneering research / metal–organic frameworks / porous material / carbon capture / decarbonization / sustainable future
科学のニュースを読むことは、単なる語学学習を超えて「世界を英語で理解する力」を養うことにつながります。次にノーベル賞が発表されるとき、あなたもきっと、英語のニュースを自信を持って読めるようになっているでしょう。
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